boot.iniファイルの編集
0.改定履歴
- 1997.03.18 初版
- 1998.03.14 MAXMEMの追加
- 1998.03.23 ARCパスの説明追加
- 1999.12.05 HALの切り替え方法を追加
- 2002.10.10 2GBメモリ越えの場合の情報追加.
- 2003.06.09 アプリケーションメモリ調整へのリンクの追加.
1.はじめに
このドキュメントでは,boot.iniファイルの説明と,編集する方法を説明する.
2.boot.iniとは?
WindowsNTのOSを起動する為に,OS Loaderというプログラムが動く. このローダが,稼動させるOSの情報を得るために参照するファイルがboot.iniファイルである.
3.boot.iniの存在している場所
boot.iniファイルは,起動ディスク上のルートディレクトリ(例えば"C:\boot.ini")に存在している.
しかし,不可視(見えない)ファイルとして存在しているので通常では見えない. ファイルマネージャ,およびエクスプローラにて「すべてのファイルを表示」にすることで見ることが出来る.
4.編集前処理
先に説明したとおり,boot.iniファイルは不可視ファイルになっている. 具体的に言うと,「システム」と「読み取り」なっているので,そのままでは編集できない.(読み込むことは出来る)
よって,ファイル属性の「システム」と「読み取り」とをファイルマネージャ又はおよびエクスプローラでオフにする.
5.boot.iniファイルのサンプルと説明
boot.iniファイルは,次のようになっている.
01:[boot loader] 02:timeout=30 03:default=multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINNT40 04:[operating systems] 05:multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINNT40="NT Server 4.00" 06:multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINNT40="NT Server 4.00 [VGA mode]" /basevideo /sos 07:multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINNT351="NT Server 3.51" 08:multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINNT351="NT Server 3.51 [VGA mode]" /basevideo /sos ※先頭の二けたの番号とコロンは行番号を表すために付けている. |
- セクション宣言. デフォルトの設定など.
- 起動時にOSの選択を待つ時間. 単位は秒. つまり,例では30秒待つ. 1秒以上にしておかないと,デフォルト以外を選択するときに苦労する.
- デフォルトで起動するNT. ここでは,\WINNT40に導入されているシステムから起動する.
- セクション宣言. 導入されているOSの種類が設定される.
- \WINNT40ディレクトリから起動する.OS選択メニューには“NT Server 4.00”と表示される.
- \WINNT40ディレクトリから起動するが,VGAモード(セーフティモード)で起動する.
- \WINNT351ディレクトリから起動する. 後は同じ.
6.編集した後は属性を戻す
boot.iniファイルを編集した後は,ファイルの属性を戻す.
ファイル属性の「システム」と「読み取り」をファイルマネージャ又はおよびエクスプローラでオンにする.
7.その他の項目
7.1.MAXMEM項目
何からかの理由で,実搭載メモリより少ないメモリでNTを稼働させる場合には,MAXMEMオプションを使ってそれを制御できる.
multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINNT351="NT Server 3.51" /MAXMEM=12 |
7.2.HAL項目
HALを切り替えたい場合,HAL項目でファイル名を指定する.
multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINNT351="NT Server 3.51" /HAL=HAL1.DLL |
7.3.3GB項目
4GTを使う場合は,/3GBオプションを付ける必要がある.
multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(2)\WINNT="Microsoft Windows 2000 Server" /fastdetect /3GB |
8.ARCパスの説明
8.1.ARCとは?
Boot.iniの中身では,次のような行が書かれている.
multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINNT351="NT Server 3.51" |
これをARC(Advanced RISC Computing)名付け規則といい,ハードディスクやFDなどのデバイス上のファイルやプログラムの位置を識別するための標準的な規則である.
Windows NTの起動フロッピーからコンピュータを起動する際に使用するものである.
RISCコンピュータ(x86以外のCPUマシン)ではNVRAMの中に記憶されている.
8.1.1.multi()構文
multi(W)disk(X)rdisk(Y)partition(Z)は,x86ベースのコンピュータのみに使われる. Windows NT3.1ではこのARCパスはIDE,EIDE,およびESDIディスクのみに有効であったが,NT3.5以降ではSCSIディスクにも有効となった. これをmulti()構文という.
multi()構文は,システムファイルの読み取りをBIOSによって行う必要がある事をNTに通知する. x86用のIPLであるLTLDRは,ntoskrnl.exeなどのシステムファイルを呼び出すために(INT)13h BIOSを呼び出す.
システム起動ディスクがmulti()で起動しない場合には,scsi()を使ってみるてもある.
8.1.2.scsi()構文
scsi(W)disk(X)rdisk(Y)partition(Z)は,RISCベースとx86ベースのコンピュータで使われ,NTのすべてのバージョンで利用できる. これをscsi()構文という. scsi()構文を使うことにより,SCSIデバイスを読み取りそのドライバを使ってブートパーティションにアクセスする必要がある事をNTに通知する.
x86コンピュータでは,SCSIのデバイスドライバはNTBOOTDD.SYSで,システムディスクのルートにあるが,最近のものはSCSI BIOSを使うものが多い. RISCコンピュータの場合には,ドライバはファームウェアに構築されれるので存在しない.
8.2.構文
8.2.1.multi()の構文
multi(W)disk(X)rdisk(Y)partition(Z) |
パラメータ | 意味 |
---|---|
W | コントローラの順序数. 必ず0(ゼロ)を設定. |
X | multi()では使用しない. 必ず0(ゼロ)を設定. |
Y | コントローラ上の序数 1次コントローラのばあいは必ず0が1である. デュアルチャンネルEIDEコントローラの場合は0〜3の範囲である. |
Z | パーティション番号. タイプ5(拡張)とタイプ0(未使用)以外の残りのすべてのパーティション番号を付けることが出来る. この番号は1から始まる. |
8.2.2.scsi()の構文
scsi(W)disk(X)rdisk(Y)partition(Z) |
パラメータ | 意味 |
---|---|
W | NTBOOTDD.SYSドライバによって識別されたコントローラの順序数. |
X | ターゲットディスクのSCSI ID. |
Y | ブートパーティションを含むディスクのLUN(Logical Unit Number;論理ユニット).殆どの場合は0である. |
Z | パーティション番号. タイプ5(拡張)とタイプ0(未使用)以外の残りのすべてのパーティション番号を付けることが出来る. この番号は1から始まる. |
参考文献
- WindowsNT 3.5 最適化ガイド p.152 利用可能メモリの変更
- WindowsNT 4.0 Server リソースガイド p.172 ARCパス名について
- 起動フロッピーの作成
- Microsoft Knowledge Base
- Windows 2000 では大容量メモリのサポートが使用できる (JP283037)
- 1 GB 以上の RAM がある場合、/3GB スイッチが必要 (JP266096)
- Intel Physical Addressing Extensions (PAE) in Windows 2000 (Q268363)