百貨店のおじさん達と飲み会をしていて，昔話ついでに「やかた」という言葉が出て来た．　この業界特有の言葉遣いで，百貨店の商業ビルの事を示す．客から観ると店舗だけれど，その建物の中に色々なお店が入っているので，館というようだ．　辞書でひくと，次の様になる．

・地位•身分ある人の住む屋敷。また、その主人。おやかた。
・仮ずまいのための形ばかりの小屋。かりや。寓居（ぐうきょ）。

　最近報道された中では，元セゾングループのパルコがJ.フロント リテイリング（大丸・松坂屋）に買収されるという話があったが，渋谷にあるパルコ等がまさに「館」とされる商業ビル．渋谷１０９も同じ．

　これらの館には，様々な会社がファッション/インテリアを１つ，あるいは複数ブランドで借りている枠の中で店を開いている．　契約形態にもよるが，おもしろかたのが，館の中で展開される月報．

　館の中にあるそれぞれの店は，運営会社が異なるのに，月報ではそれぞれの店舗毎の売上がでている．店舗によって売上を競わせたり，売れている（流行っている）ブランドの傾向等をつかむ事で，陳列や品揃えを換えたりというような戦略に使うのだけれど，そう言ったビジネス的な事だけじゃなくて，開店時間が列挙されているレポートが有った．

　館が，１１時開店として，１１時に店を開けていられたのか否か．つまり，建物の入り口は空いているけれど，テナントが時間通りに開いていない事が有る．　客から観ると全部「館」なので，当然，注意対象となるのだが，遅刻？的なものは文化なので，繰り返す．　それでも繰り替えす勤務態度？の悪いテナントが，売上のランキング上位だったりするので話がややこしい．
　これには背景が有って，人気の店だから新規出店を優先し，ベテランは新店舗へ配置．既存店で立地でパワーのある店は新人に任せる．場合によっては未経験者なので，従業員教育もできてない．時間通り店を開けるなんてとんでもない！　売れればいいんだろ！　という事が現実だったり．