EM64Tについて
0.改訂履歴
- 2004.09.16 新規作成
1.はじめに
このドキュメントでは,IntelのEM64Tについて調査した結果をまとめる.
2.EM64Tとは
- EM64Tとは,Extended Memory 64 technologyの略.
- PCサーバのメモリアドレッシングを64bit化するためのテクノロジーの事.
- IA-32アーキテクチャ(Intel Architecture 32bit)をベースに,拡張.
- 平たく言うと,32bitプロセッサのXeonに64bitメモリ空間を与えたもの.
- ハードウェアメーカの動きとしては次の通り.
- インテルが2004年にサーバプラットホーム向けに導入を予定している.
- AMD OperonプロセッサもEM64Tを採用.
- 各種ハードウェアメーカからは,2004年ど後半以降に続々と新サーバが発表されていく模様.
3.EM64Tの仕様について
- 32bit CPUでは,仮想メモリ空間は4GBとなっている.
- そのうちの半分はOSが使うので,実際にアプリケーションが利用できるのは2GBという制限がある.
- そのへんの詳細は「アプリケーションメモリ調整 /3GB」を参照のこと.
- 64bit環境で利用できるのは,16EB(エクサバイト)というテラバイトの1つ上のランクのため,これの上限を超えるのは,結構先・・・な気がする.
- そのうちの半分はOSが使うので,実際にアプリケーションが利用できるのは2GBという制限がある.
4.互換性について
- EM64Tには,2つのモードがある.
- レガシーモード
- 32bit OSをそのまま利用することができ,高い互換性を持っている.
- IA-32e
- 64bit OSを利用するモード.
- 32bitアプリケーションは互換モードで稼働させることができる.
- 32bit/64bitアプリが共存できる.
- 32bit互換モードでも,速度低下しない,らしい.
- レガシーモード
- 64bit版 Windowsは,2005年初頭にリリース予定.
5.Itanium2との棲み分けは?
- Intelの64bit CPUといえば,Itanium2(あいてにうむ)がある.
- このEM64Tに対応したXeonと,Itanium2は,どの様に使い分けていくのか.
- まずはスペックから.
項目 | Itanium2 | Xeon EM64T |
---|---|---|
互換性 | IA-32エグゼキューション・レイヤ(IA-32 EL)の導入によって,IA-32アプリケーションが稼働する.
Windows2003 SP1で導入される予定. hpのPA-RISCのプログラムを実行できる. |
レガシーモードで動作させることにより,32bit Xeonとして稼働可能.
IA-32eモードの場合は,互換モードで動作させることが可能. しかし,その場合64bit対応OSで稼働している必要がある. |
アーキテクチャ | EPIC | IA-32の拡張 |
互換モードの性能 | 32bit命令をエミュレーションで実行しているので遅い. | 性能の劣化無し. |
対応OS |
以下のOSで稼働中.
|
以下のOSが稼働予定.
|
64bitプロセッサの相互互換性 | 無い. 命令セットが異なるため. 64bit OSも,相互互換性は無い. | |
省電力 | 1GHzでDualプロセッサに対応した省電力版(62W)がある. | |
デュアルCPU用周波数 | 1.6GHz(3MBキャッシュ) | 3.6GHz(1MBキャッシュ) |
マルチCPU用周波数 | 1.5GHz(6MBキャッシュ) | 3.0GHz(4MBキャッシュ) |
価格 | たかい(サーバで2〜3倍) | いままでと変わりない |
- 32bit環境辛いの移行手段,価格等・実効性をみると,Itanium2はHP-UX(PA-RISC)マシンの買い換え需要がメインになると思われる.
- Xeon EM64Tは,既に新製品として売られている,コレまで通りのIA-32として導入が始まり,実績を作っていき,きっと2年ほど先に完全64bitのXeonが出るのではないでしょうか.
- 個人的には,Itanium2搭載マシンは,観ることが無さそうだ...