OSIプロトコル階層モデル
0.改定履歴
- 1998.04.30 初版
1.はじめに
このドキュメントでは,一般的なOSIプロトコル階層モデルの説明を前提として,TCP/IP階層,Windowsネットワークの階層を説明するものである.
2.OSIプロトコル階層モデル
ネットワークでは,エラー訂正,セキュリティ,データ属性等などを標準化するために,ITU-TとISOが共同で,OSI(Open System Interconnection:開放型システム間相互接続)が定義されている.
第7層 | アプリケーション | ファイル転送や電子メールなどのアプリケーションに対応したプロトコルを設定する. |
第6層 | プレゼンテーション | コンピュータやソフトウェアによるデータ形式の違いを吸収し,相互のデータ転送を規定する. データの暗号化や圧縮もここで行うことが出来る. |
第5層 | セッション | 途切れることのない信頼性のある通信経路(リンク)を上位のネットワークプロトコルに提供する. 回線切断時の回復や同期,フロー制御などが行われる. |
第4層 | トランスポート | パケットの再送制御や順路制御など,パケット軍で運ばれるデータ(ストリーム)を確実に相手に届ける. トランスポート層が,個別のプロセスを対象としたデータリンクを提供することで,これより上位層では複数のプロセスを実行することが出来る. |
第3層 | ネットワーク | ネットワーク上のノード間でデータの中継担当する. ネットワーク上でパケットの宛先を決定するためのアドレス制御を行い,経路選択(ルーティング)によってパケットを中継する. 宛先不明なパケットはこの階層で廃棄される. |
第2層 | データリンク | パケットをビットストリームに分解・再構築し,隣接する2点(ノード)間で伝送する. チェックサム方式によるパケットの検査を行い,壊れたパケットは捨てられる. |
第1層 | 物理 | ビット情報を伝達するハードウェア手段を規定する. |
OSIに完全に準拠した製品は発表されていないが,それぞれの製品がどの様な特徴を持つかを表現するときの基準として引き合いに出される.
このOSI7層モデルでも重要なのは,第1〜3層と,第7層である.

第7層のアプリケーション層から第5層のセッション層までで,コンピュータ上で稼動している“プロセス”が用いる通信で,トランスポート層がプロセスを区別してデータの配信を行役目になる. つまり,トランスポート層から下はアプリケーションに依存しない,コンピュータ間でのデータ通信を扱う.
データの中継はネットワーク層で行われ,複数のデータリンク層と物理層は異なる種類であっても構わない.
3.TCP/IP
TCP/IPは,厳密な意味ではTCP(Transmission Control Protocol)と,IP(Internet Protocol)という2つのプロトコルを示すが,一般的には次のような5層構造のプロトコル全体の事をTCP/IPと呼ぶ.

TCP/IPの中核であるTCP/UDP層は,OSIモデルのセッション層に相当し,IP層はトランスポート層に対応するような機能を実現する.
TCP | 離れたコンピュータ上の複数のプロセス間での通信リンクを確立する. |
IP | コンピュータ上でデータを目的のコンピュータまで中継する. |
このTCP/IPを使用する上位プロトコルとして,TELNETやFTP,HTTPなどがあり,下位層としてはEthernetやFDDIなどがある.
4.Windowsネットワークの場合
Windowsのネットワークでは,NetWareやNetBEUI,TCP/IPを次のような階層構造で組み立てている.

参考文献
- はじめてのTCP/IP 初版
- 技術評論社 ISBN-7714-0419-1 C3055
- 98年春期 第2種 徹底予想 午前 ー情報処理試験ー 第1版
- リックテレコム ISBN-4-89797-250-7 C3055