デバイスの競合
〜Winmsdを使った調査〜
0.改定履歴
- 1998.11.18 初版
1.現象
- 以前からの現象
- XXX向けのNotesサーバのディスプレイドライバの不具合により,pcAnywareが接続できない.
- 同じようにNTをインストールした,ファイルサーバでは問題が起きていない.
- 新しい話
- Notesサーバにもファイルサーバにも,新しくネットワークカードを追加した.
- すると,デバイスの競合が発生した.
- 前提の話
- Notesサーバとファイルサーバのハードウェアは同一機種,メモリ搭載量が異なる程度? それと,ネットワークカードを追加した際,異なるスロットに設定した.
2.時系列
特になし
3.調査
これら障害は,聞き伝えでしか無かったので,とりあえずイベントグを参照した.
EventID:22 Source:mga 重複する I/O ポート領域を要求した 2 つのドライバの間に競合が検出さ れました。 デバイス <\Device\Video0.Translated> のドライバ s3 は次 の I/O ポート範囲を要求しました。 開始アドレス: データ アドレス 0x 28 と 0x2c 長さ: データ アドレス 0x30 0000: 000c0000 00540003 00000000 c0040016 0010: 00000000 00000000 00000000 00000000 0020: 00000000 00000000 0000c6e8 00000000 0030: 00000004 |
ディスプレイドライバは,S3のものを使っている模様.
良く判らないので,Windows NT 診断プログラム(winmsd)を使い情報を取得してみた.
Notesのリソース(デバイス)一覧
問題のあるNotesサーバでは,上記のようにIBMFE(ネットワークカード)がIRQ4を使用しているが,PCIバス上なので,ISAバス上のSerialとは違うことが確認できる.(つまり,競合はない)
ファイルサーバ
問題のないファイルサーバ側を見ると,IBMFEはIRQ20版を使っている. 聞いたとおり,違うスロットに導入していることを確認した.どちらにしてもIRQの衝突はないことが確認できた.
さらに,I/Oポートアドレスもチェックしたが,現在稼働中の物で競合しているものは発見できなかった.
そしてドキュメント「NTの構成情報取得 〜 WindowsNT診断プログラムwinmsd.exe〜」にあるとおりの方法にて,ファイルサーバとNotesサーバの構成チェックを行なった.
***** files.txt サービス フラグ: カーネル ドライバ, 共有プロセス ati (Video) 停止 (無効) エラーの重大さ: 無視 ***** NOTES.TXT サービス フラグ: カーネル ドライバ, 共有プロセス ati (Video) 停止 (システム) System32\DRIVERS\ati.sys エラーの重大さ: 無視 ***** |
差分を見ると,サンプルのように,Video関連のデバイス項目に関して複数の違いが発見された.
4.原因
作業履歴を聞いてみると,pcAnywareが稼動しないので,ディスプレイドライバを色々と入れ換えてみたりしたという.
そのため,Videoデバイスのスタートアップ状態が,通常使われていないデバイスであれば“無効”となっているところ,“システム”として定義されていた.
システムの場合,NTのブートシーケンス順で言えば,カーネル初期化ロード時に読み込まれるため,システムに一番近い箇所に読み込まれることになる.
よって,現在“停止”中であっても,カーネルにロードされているので,メモリ内に確保されるようなことが有る?のかもしれない.(ほとんど予測)
5.対応
上手く行っているファイルサーバと同じように,デバイスの設定(コンパネのデバイス)を設定して再起動したら上手く行ったそうだ.
6.所感
まず,今回原因が判らないので,いきあたりばったりドライバを入れ直したのが問題だろう. 傷口を広げてしまった.
さらに言うなら,標準VGAドライバを選択しても,同じ物が入らなかったNT4.0がおかしいと言えばそれまで.
7.今後の課題(再発防止策)
原因究明に関する幅広い知識が必要. しかし,それを備える為だけのタスクも文献も手に入りにくい.
参考文献
- Windows NT Server4.0エンタープライズテクノロジー講習テキストp.495 Start値