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NTのフォールトトレランスの説明

NTのフォールトトレランスの説明


0.改訂履歴

  • 1997.01.29 初版
  • 1997.10.06 RAIDの説明追加
  • 1998.08.10 パリティ付きストライプセット,ミラーセット手順のリンク追加

1.はじめに

 このドキュメントは,Windows NT3.51,NT4.0で実装されているフォールトトレランスの説明である. フォールトトレランスの作成方法は,これ読んだ上で,ドキュメント「パリティ付きストライプセット確立手順」と「ミラーセットの確立手順」を参照する.

2.ボリュームセット

 RAIDとは無関係である.

 NTServerとWorkstationで利用可能.

 ボリュームセットとは,複数の物理ドライブを1つの論理ドライブとして構成する仕組みで,たとえば次のように活用することが出来る.

  • 2つのボリュームを1つのボリュームセットとして認識させておく.
  • このボリュームには複数の共有設定や複雑なアクセス権が設定されてる.

 この時,ボリューム自体のハードディスク容量が不足した場合,新たにドライブを追加する処置を取る事になった場合,ボリュームセットに1台のディスクを追加するだけで終了する.
 これをボリュームセットを適用していなかった場合,どのようになるか.
 容量が一杯になりそうなドライブ内の,適切な資源(ファイル)を新しく追加したドライブに移行する作業が発生する. この時,共有設定の解除,再設定が必要になり,また体系だって作成されたディレクトリツリーを分割しなければならなくなる.
 WindowsNTでフォールトトレランスを設定すると,セクタ障害などを自動的に復旧する機能が標準で備わっている.

  • 利用できる物理ドライブは1台〜32台まで。
  • 利用できる容量は、各領域の容量の総計に等しい。

3.ストライプセット

 RAID0に相当する.

 NTServerとWorkstationで利用可能.

 ストライプセットとは,分散型データ格納方式である.
 ストライプセットは複数の物理ドライブから構成され,書き込みを複数のドライブに対して同時に行う.
 つまり,1つのファイルを読み書きする場合でも,複数のドライブにまたがっているので同時にドライブのヘッドが稼働することになり,平均Seektimeを向上させる. ディスクアクセスを,他のどの方法よりも高速化する方法である.
 しかし,ファイルを分散して持っているので,複数のドライブ(ディスクアレイ)のうち1つでも故障したとき,ファイルの復旧が困難になるデメリットがある.

 障害発生時の対処が困難であると考えられるので,データベース処理でも参照系の高速処理を要求されるシステムのドライブ以外では適用できない.(実用的で無い)

  • 利用できる物理ドライブは2台〜32台まで.
  • 利用できる容量は,各領域の容量の総計に等しい.

4.ミラーセット

 RAID1に相当する.

 NTServerで利用可能.

 ミラーセットとは,一般的にいわれるミラーリングの事である.
 ミラーリング対象となるボリュームの複製を取る.
 この場合,ミラー先のドライブ容量が,ミラー元と同一,あるいは容量が多くなければ成り立たない.
 つまり,完全なミラーリングを構成したい場合,物理ドライブは本来必要とする物理ドライブの2倍の台数を必要とすることになる. コストが高くなり,またサーバ機によっては搭載出来るハードディスク数に限りがある点も注意しなければならない.
 ミラーセットは,1つの使用中のドライブに対して,未使用領域(未フォーマット)を適用する必要がある.
 ミラーセットは,その特徴から(次のパリティ付きストライプセットに比べ)OSの障害対策に向いている.

  • 利用できる物理ドライブは2台.ただし3台以上の物理ドライブを組み合わせて更に別のミラーセットを追加することも可能.
  • 利用できる容量は、各領域の容量の総計の半分になる.

5.パリティ付きストライプセット

 RAID5に相当する.

 NTServerで利用可能.

 複数の物理ドライブ(最低3台)の,ほぼ同容量の空き領域をひとつの論理ドライブとして扱う.
 1台の物理ドライブに障害が発生すると,その物理ドライブを切り捨てて,別の物理ドライブと交換し「再生成」の作業を行うことで完全なデータを復旧する.
 基本的には上記「ストライプセット」に近いが,パリティビットをデータに付加し,全物理ドライブに均等に分散させるため,1台までの物理ドライブの障害には耐える.
 読み込みは「ストライプセット」と同様なので高速化が図れるが,書き込みはパリティ生成の分「ストライプセット」よりも低速になる(注:一般的にミラーセットよりは高速).

  • 利用できる物理ドライブは,3台〜32台まで.
  • 利用できる容量は、各領域の容量の総計−1領域分の容量.

6.応用

 ストライプセット(RAID0)は特にディスクの読み込みを高速化するために用いられる.
 MicrosoftではNT ServerによるVideo On Demand(コード名:Tiger)でこれを用いている.

 ミラーセット(RAID1)は絶対に損失の許されないデータの格納に有利である.また障害からの復旧時間も最短である.

 パリティ付きストライプセット(RAID5)はディスクアクセスの高速化,データ損失の危機回避,そしてドライブの利用効率の高さの3要素のバランスが良いことからよく用いられます. 障害からの復旧時間はパリティの再生成の分時間がかかる.

 「ボリュームセット」は前出の3つを作成した後,余りのパーティションをくっつけて再利用するのに便利である.


参考文献



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