ファイルシステムの選択の指針
0.改訂履歴
- 1996.10.24 初版
- 1996.10.27 ボリュームセットの内容の情報追加修正
- 1997.02.24 NTFSの説明を追加
- 1999.11.21 FAT32についてリンクを追加
- 1999.12.24 誤字修正(復旧を普及としてた...)のとWindows2000について追加
1.ファイルシステムの種類
WindowsNTで実装しているファイルしシステムと,その特徴を挙げる.
1.1 FAT(File Allocation System)
MS-DOSで採用されたファイルシステムと互換. 8.3形式のファイル名の制限があり,またNT上ではアクセス権を細かく設定できないのでセキュリティ面で劣る. また,巨大なボリュームに対して適用した場合,ブロックサイズが大きく取られるので無駄なディスク消費部分が発生する.
このファイルシステムの場合,MS-DOSで読み書き可能なので,OSがインストールされているボリュームに対して適用される事が多い.
しかし,これもNTがインテル系x86およびPentiumで稼働するマシンでのみ有効である. なぜなら,MS-DOSがそれらのCPU下でしか稼働しないからである.
Windows95のOSR2版からは,FAT32というファイルシステムも登場している.
1.2 NTFS(NT File System)
WindowsNT独自のファイルシステム. FATで実現できないロングファイル名,ボリューム,ディレクトリ,ファイルに対してグループ,ユーザ毎の細かいセキュリティを設定することが出来る. また,最低ブロックサイズがFATより少なくすることが可能であり,ディスク容量を有効に活用することが出来る.
難点で言えば,ファイル,ディレクトリ障害,およびフラグメンテーションが発生した場合に解消する決定的なソフトウェアがあまり無い事であるが,ファイルシステムとしては頑丈である.
1.3 HPFS(High Performance File System)
OS/2で採用されているファイルシステム. NTFSと同程度の性能があるが,OS/2が絡んだネットワーク構築を行わない限り必要ない.
WindowsNT4.0以降では実装されない.
1.4 CDFS(CD-ROM File System)
CD-ROMで採用されているファイルシステム. ISO9000対応のファイルシステムの拡張か?と思われるが,NTのセットアップ時には関係ない.
2.適用するファイルシステムの考察
前述の4種類の中で検討が必要なのは2つであると考えれる.
HPFSについては,ネットワーク内にOS/2が存在し,使用していない限り必要性が無く,CDFSについては検討してもしかたないからである.
前述にあるFAT,NTFSの機能面から,次のように適用する事が良いと思われる.
2.1 OSが入るボリュームはFATを適用
次のような事から,WindowsNT自体がインストールされるボリュームはFATが適しているとおもわれる.
- OSのクラッシュ時(障害を起こした)場合,MS-DOSのFDから緊急起動ができる. これが出来ると,いろいろな復旧対策を行いやすい.
- 通常,OS部分は共有しないのでアクセスされる事がない.
しかし,これも次のような例外がある.
- NTが,Alpha,MIPS,PowerPCで稼働しているような場合,MS-DOSが稼働しないのでメリットがない.
- OSのボリュームをRAID構成にしている場合,他の復旧手段がある.
2.2 その他のボリュームはNTFSを適用
大半の場合,Windows NT Serverはファイルサーバとして使われている. その場合,ある資源を切り出して共有資源とするのだが,その場合,NTFSであればアクセス権の設定を細かく設定できる.
また,FATに比べ,ブロックサイズを最低限に押さえることが出来るのでディスクの有効活用が可能である.
また,NT3.5からはディレクトリ毎の圧縮機能が備わっているので,頻繁にアクセスしないようなファイルは圧縮して置くことが出来る.
3.Windows2000について
Windows2000のNTFSは,NTFS Version5とされている. WindowsNT4.0 ServicePack3では,このNTFS Ver5のボリュームを観ることができない.
デュアルブート環境にするためにNT4.0 SP3の環境に,Windows2000を導入してにすると,前者で作成していたNTFSはVersion 5に変更されるが,これをNT4.0 SP3では参照することができなくなってしまう.
これを回避するには,Windows2000を導入する前に,NT4.0 SP4以降を適用しておく必要がある.