W2KのDNS
W2KのDNS
0.更新履歴
  - 2001.11.22 新規作成.
  
- 2001.12.01 フォワーダ以降を追加.
  
- 2001.12.09 管理用のコマンド以降を追加.
1.はじめに
 このドキュメントでは,Windows2000 Serverに実装可能なDNSについてまとめる.
2.Windows2000でのDNS
  - Windows2000では,名前解決方法としてDNSが採用されている.
  
- 以前はNetBIOS名であった.
  
- ActiveDirectoryでは,DNSが必須である.
3.役割とゾーン
  - DNSには,役割が2つある.
  
    - プライマリDNSでは,ゾーンのDNSデータベースに対して,権限をもつことになる.
    
- セカンダリDNSでは,プライマリDNSからデータベースを複写する.
    
- それぞれをW2Kの世界では「標準プライマリDNS」,「標準セカンダリDNS」と呼ぶ.
  
 
- データベースを複写することを「ゾーン転送」と呼ぶ.
  
- 設定情報は,MMCのDNS画面で「前方参照ゾーン」の「種類」の中で確認できる.
  
- ゾーン転送では,全てのデータが対象の「フルゾーン転送」と変更分だけを複製する「差分転送」をサポートしている.
  
- 複製間隔は,1時間に一度.
  
- ActiveDirectoryをインストールしたドメインコントローラ上でDNSを実装すると,「ActiveDirectory統合ゾーン」というモードができる.
  
- ActiveDirectory統合モードでは,次のような特徴がある.
  
    - 統合されるので,ゾーン複製がActiveDirectoryの複製と一緒に行われ,5分に一度の頻度で複製される.
    
- 標準DNSの場合は,プライマリDNSでのみデータ変更が可能であるが,統合されている場合は全てのDNSがプライマリDNSになる.
  
 
3.ActiveDirectoryでDNSを使う
  - W2KでActiveDirectoryを使用する場合は,次の要件を満たすDNSが必要となる.
  
    - SRVレコードをサポートする.
    
- DynamicDNS(RFC2136)をサポートしている.
  
 
- それらを満たしていない場合は,ActiveDirectory用のゾーンを作成して,「ゾーンの委任」を行う.
  
- 委任したゾーンは,W2KのDNSで管理できる.
  
- BINDを使う場合,BIND8.1.2以降が推奨されている.
  
- NT4.0のMS DNSでは,DynamicDNSや差分ゾーン転送などがサポートされていない.
4.DNSのテスト
  - DNSのテストは,次の2つの方法がある.
  
- nslookupコマンド
  
- MMC DNSのプロパティ[監視]タブにある[テスト実行]
  
    - 単純クエリ
    
      - 自分自身のDNSサーバに問い合わせしてチェックする.
    
 
- 再帰クエリ
    
  
 
5.ほかのDNSサーバで探す
  - DNSサーバが管理するゾーンに,クライアントから要求されたホスト名が解決しない場合,DNSサーバ自身が,名前解決を試みる.
  
- その場合,DNSのルートサーバやルートヒントを元にして,複数のDNSサーバにクエリを実行する.
  
    - フォワーダ
    
      - 複数のDNSサーバを運用する際に,特定のDNSをフォワーダとして構成すると,ルートサーバの名前解決をするDNSを特定のDNSサーバに固定できる.
      
- 固定することによって,トラフィックの制御が可能となる.
    
 
- ルートヒント
    
      - DNSサーバ(A)が,自分で名前解決できない場合,ルートヒントに登録してあるDNSサーバ(B)に問い合わせをする.
      
- DNSサーバ(B)は,さらに自分が名前解決できないと,ほかのDNSサーバ(C)があることをDNSサーバ(A)に教えてあげる.
      
- DNSサーバ(A)は,DNS(B)に教えてもらったDNS(C)に対してクエリを出す.
      
- これを繰り返す.
    
 
 
7.DNS Client
  - Windows2000では,DNS Clientサービスを稼動させることができる.
  
    - DNSクライアントは,リゾルバキャッシュの機能がありる.
    
- リゾルバキャッシュは,名前解決した結果をしばらくメモリ内に持っている.
    
- よって,最近アクセスしたDNS名は,DNSサーバに問い合わせしなくてもよい.
  
 
- しかし,キャッシュしているため,タイミングが悪く相手のPCのIPアドレスが変わったなど,実際のホスト名&IPアドレスの割り当てと,キャッシュメモリ内の情報が一致しないこともある.
  
- よって,そのような場合は,次のコマンドでキャッシュ内容をクリアする.
  
    | Microsoft Windows XP [Version 5.1.2600]
(C) Copyright 1985-2001 Microsoft Corp.
C:\>ipconfig /flushdns
Windows IP Configuration
Successfully flushed the DNS Resolver Cache.
C:\> | 
  - また,現在のキャッシュの中身は次のコマンドで表示することができる.
  
    | Microsoft Windows XP [Version 5.1.2600]
(C) Copyright 1985-2001 Microsoft Corp.
C:\>ipconfig /displaydns
Windows IP Configuration
         1.0.0.127.in-addr.arpa
         ----------------------------------------
         Record Name . . . . . : 1.0.0.127.in-addr.arpa.
         Record Type . . . . . : 12
         Time To Live  . . . . : 593442
         Data Length . . . . . : 4
         Section . . . . . . . : Answer
         PTR Record  . . . . . : localhost
         localhost
         ----------------------------------------
         Record Name . . . . . : localhost
         Record Type . . . . . : 1
         Time To Live  . . . . : 593442
         Data Length . . . . . : 4
         Section . . . . . . . : Answer
         A (Host) Record . . . : 127.0.0.1
C:\> | 
  - 次のコマンドを入力すると,DHCPのリース期限が更新され,そのコンピュータのDNS名がDNSサーバに登録される.
8.キャッシュ専用サーバ
  - キャッシュ以外にゾーンを構成していないDNSサーバの事をキャッシュ専用サーバという.
  
- このサーバだけでは名前解決はできない.
  
- クライアントからDNSクエリを受け付けると,フォワーダを参照して他のDNSサーバに問い合わせを行う.
  
- 問い合わせた結果は,キャッシュ内に持つ.
9.リソースレコード
  - DNSのゾーンに定義される基本的なリソースレコードは,次のようになる.
  
    | 種類 | 記号 | 説明 | 
  
    | ホストアドレス | A | DNSドメイン名をIP V4にマップする. | 
  
    | 正規名 | CNAME | 別名DNSドメイン名,代替DNSドメイン名を,正規DNSドメイン名かプライマリDNSドメインにマップする. | 
  
    | ポインタ | PTR | in-addr.arpaドメインなど,特殊なドメインで使われ,逆引き(アドレスからDNS名を調べる)に使われる. | 
  
    | サービスロケータ | SRV | 同様のTCP/IPベースのサービスを行っている複数のサーバのIPアドレスを1回のDNSクエリで返すために用いられる. | 
  
    | Start of Authority | SOA | ゾーンから委任されるサブドメインDNSの場合,その上にあるプライマリDNSの情報などを持つ. | 
10.管理用のコマンド
  
    | コマンド | 機能説明 | 
  
    | dnscmd.exe | DNSサーバのプロパティ,DNSゾーン,DNSリソースレコード(RR)を表示したり,任意のプロパティを変更できる. | 
  
    | dnsstat.exe | dnscmd.exeと同じような機能を持っているツールであるが,NT4.0で提供されているツールの為,W2Kには含まれていない. |