NetBIOS
0.改定履歴
- 1998.05.01 初版
- 1998.08.13 広範囲なNetBIOS識別子を追加掲載した
- 1998.11.26 巻末の参考文献へのリンク追加
1.はじめに
このドキュメントは,Windowsで構成されるネットワークで,必須となっている知識である,NetBIOSについて説明するものである. これは,将来のNTサーバでは不要になるかもしれない?
2.NetBIOSとは?
ネットワーク上のアプリケーション間通信を行うために,Sytek CorporationがIBMの為に作成したものである.
NetBIOSインタフェイスは,ユーザアプリケーションがネットワークI/Oや制御を下位のネットワークプロトコルに実行出来るようにするAPIで,これを用いたアプリケーションがこのAPIを用いるプロトコルスタックの上で稼動する事を保証するものである.
OSI参照モデルの,セッション/トランスポート層で機能するプロトコルも定義している. これは,NetBIOSインタフェイスコマンドセットに対応するために必要なネットワークI/Oを実行する為に,下位プロトコル,NetBEUIやNetBTによって実装されている.
最近は,NetBIOSは,この“コマンドセット”としての意味合いが強い.
NetBIOSは,次のようなサービスの為のコマンドとサポートを提供する.
- ネットワークの名前の登録と確認
- セッションの確立と終了.
- 信頼性のあるコネクション型セッションデータ転送
- 信頼性のないコネクションレス型のデータグラムデータ転送
- サポートプロトコルとアダプタの監視と管理
3.NetBIOS名とは何か?
ネットワーク上のNetBIOSリソース(コンピュータ名など)を識別するために使用されるユニークな16バイトのアドレスである. この名前は,単体を示す場合と,グループ名を示す場合がある.
たとえば,単体を示すものとしては,ユーザ名やコンピュータ名で,グループ名を示すものは,ドメイン名やNTのユーザ管理で使うグループ名などである.
NetBIOS名を使用している例としては,NTサーバのServerサービスがある. コンピュータが起動すると,Serverサービスは,コンピュータ名に基づいた一意のNetBIOS名を付ける.
たとえば,NTサーバが使用するNetBIOS名は,15文字のコンピュータ名に15番目の文字として16進数の20(10進数で32)を設定する. 提供されるサービスを見分けるために,色々なサービスはNetBIOS名の16番目の文字を使用することになる.
NTのネットワークサービスは,NetBIOS名を使用し,すべてのネットワークコマンド(Explorerやファイルマネージャ,net コマンド)は,NetBIOS名を使用する.
TCP/IPは,NetBIOS名を使用しない.
4.普通に使われるNetBIOS名の16番目の値
NetBIOS名は,15文字までのコンピュータ名+16進数で表されるが,代表的なものを以下に示す.
値 | 説明 |
---|---|
\\computer_name[00h] | Workstationサービスに対して登録. |
\\computer_name[03h] | Messangerサービスに対して登録. |
\\computer_name[20h] | Serverサービスに対して登録 |
\\username[03h] | 現在コンピュータに対してログオンしているユーザ名. ユーザ名はMessangerサービスによって登録され,ユーザは自分のユーザ名に送られたnet sendコマンドを受け取ることが出来る. 同じユーザが複数ログインしている場合には,最初のコンピュータのみの送信される. |
\\domain_name[1Bh] | ドメインブラウザマスタとして動作しているNTサーバのPDCによって登録されるドメイン名. これはリモート(ルータを挟んだ)ドメインの参照に使用される. WINSサーバを用いてこの名前を照会すると,WINSサーバはこの名前を登録したコンピュータのIPアドレスを返す. |
5.広範囲なNetBIOS名の16番目の値
5.1.NetBIOS名一覧
名前 | 数 (hex) | 種類 | 使用方法 |
---|---|---|---|
<computername> | 0 | U | Workstation Service |
<computername> | 1 | U | Messenger Service |
<\\--__MSBROWSE__> | 1 | G | Master Browser |
<computername> | 3 | U | Messenger Service |
<computername> | 6 | U | RAS Server Service |
<computername> | 1F | U | NetDDE Service |
<computername> | 20 | U | File Server Service |
<computername> | 21 | U | RAS Client Service |
<computername> | 22 | U | Microsoft Exchange Interchange(MSMailConnector) |
<computername> | 23 | U | Microsoft Exchange Store |
<computername> | 24 | U | Microsoft Exchange Directory |
<computername> | 30 | U | Modem Sharing Server Service |
<computername> | 31 | U | Modem Sharing Client Service |
<computername> | 43 | U | SMS Clients Remote Control |
<computername> | 44 | U | SMS Administrators Remote Control Tool |
<computername> | 45 | U | SMS Clients Remote Chat |
<computername> | 46 | U | SMS Clients Remote Transfer |
<computername> | 4C | U | DEC Pathworks TCPIP service on Windows NT |
<computername> | 52 | U | DEC Pathworks TCPIP service on Windows NT |
<computername> | 87 | U | Microsoft Exchange MTA |
<computername> | 6A | U | Microsoft Exchange IMC |
<computername> | BE | U | Network Monitor Agent |
<computername> | BF | U | Network Monitor Application |
<username> | 3 | U | Messenger Service |
<domain> | 0 | G | Domain Name |
<domain> | 1B | U | Domain Master Browser |
<domain> | 1C | G | Domain Controllers |
<domain> | 1D | U | Master Browser |
<domain> | 1E | G | Browser Service Elections |
<INet~Services> | 1C | G | IIS |
<IS~computer name> | 0 | U | IIS |
|
[2B] | U | Lotus Notes Server Service |
IRISMULTICAST | [2F] | G | Lotus Notes |
IRISNAMESERVER | [33] | G | Lotus Notes |
Forte_$ND800ZA | [20] | U | DCA IrmaLan Gateway Server Service |
5.2.種類の説明
- 一意 (U):
- 名前は,割り当てられた 1 つの IP アドレスのみを持っている場合があります。ネットワーク デバイス上では、単一の名前が複数存在するように登録されているようにみえる場合があります。副指数は、名前の中で一意の文字である可能性があります。
- グループ (G):
- 通常のグループ; 単一の名前が多くの IP アドレスで存在する場合があります。WINS は、限られたブロードキャスト アドレス (255.255.255.255) を持ったグループ名の名前問い合わせに応答します。ルータはこれらのアドレスの伝送を妨げるため、インターネット グループは、サブネット間の通信を提供するように設計されていました。
- マルチホーム (M):
- 名前は一意ですが、同一コンピュータ上に複数のネットワーク インタフェースが存在するため、この設計でレジストレーションを可能にする必要があります。アドレスの最大数は 25 です。
- インターネット グループ (I):
- これは、Windows NT Domain 名の管理に使用するグループ名の特別な設定です。
- ドメイン名 (D):
- Windows NT 4.0 の新機能です。
参考文献
- Microsoft技術情報 J042523
- LMHOSTS