システム領域の確保
〜NTサーバが必要とするディスクエリア〜
0.改定履歴
- 1997.03.18 初版
- 1997.04.03 誤字脱字修正
- 1997.06.06 リンク間違い修正
1.はじめに
このドキュメントはWindowsNT のシステム領域,つまりドライブCの容量についての考えを示す物である.
2.ドライブCについて
出来るだけ多い方がよいに越したことは無い.
しかし,通常の運用を考えた場合にデータを保存する場所としてドライブCは避けたい. これはシステムクラッシュからデータを保護するためである.
また,ハードウェアRAIDを導入していない場合には,ディスクアクセスを高速化させるために,システムとデータを分離しておいた方がよいが,近年のPCサーバではハードウェアRAIDとなっているものが多いために,速度面での考慮は必要なくなっているのも現状である.
3.システムファイルが必要とするディスク容量
WindowsNTサーバをインストールした際に,最終的なハードディスク容量を以下に示す.
OS | 容量 | 備考 |
---|---|---|
Windows NT3.51 ServicePack 3 | 98M | 3.51の初期出荷版 |
Windows NT3.51 ServicePack 5 | 117M | 3.51のアップデータ最新版 |
Windows NT4.0 PreRelease | 127M | ベータ出荷版 |
Windows NT4.0 Service Pack 1 | 未計測 | 4.0の日本語版初期出荷版 |
Windows NT4.0 Service Pack 2 | 未計測 |
上記の環境では,システムルート以下の容量を計測している. また,IISおよびSQL Serverなどが追加されているので正確な数値ではない.
ここでは,将来的予測も含めて,ざっくりと最終的に150M必要と見積もる.
ドキュメント「Trouble AID 〜トラブルから早く回復するための事前処理〜」を実行するならば,実ファイルは2倍必要となるので,ファイルの容量は300Mを見積もる.
また,Microsoftの製品ははインストールの際にハードディスクにインストール前のアーカイブファイルを複写し,インストール最中のテンポラリファイルを作成したりするので,この分を余裕を持って200M程用意しておく.
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4.ログファイルのデフォルトを考える
NTを基にデザインされたアプリケーションでは,デフォルト設定でディレクトリ%SystemRoot%\sytem32\LogFilesにログファイルを書き出すように設定してある.
たとえば,NTの“バックアップ”では,ある2G使用しているドライブのバックアップログで「要約のみ」の設定で約6Mのファイルが作成され,全ログを取ると30Mになることもあった. もし,バックアップの際に全ログを取得し,その履歴管理を行なうのであれば100Mほどを見込んでおいた方がよいのではないかと考える.
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5.ページファイル
ページファイルとは,仮想記憶用の主記憶メモリ退避ファイルで,隠しファイルとして“PAGEFILE.SYS”として存在している.
このファイルは,マイクロソフトは「実搭載メモリ+12M」を推奨しているが,多数の常駐バックグラウンドアプリケーションを稼動させる場合には,実際には更に大きいエリアを取らなければならないと思われる.
例えば,実搭載メモリを例にとって,設定値を以下のように考えてみた.
実搭載メモリ | +12M(MS推奨値) | +50% | 2倍 |
---|---|---|---|
64M | 76M | 96M | 128M |
96M | 108M | 144M | 192 |
128M | 140M | 192M | 256 |
現状,PCサーバに搭載されるメモリ搭載は当面64Mから128Mの間であると思われるので,この最大値128Mの2倍,256M分確保しておく.
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6.メモリダンプファイル
NTがダウンすると,メモリダンプファイルを作成する. デフォルトでは“MEMORY.DMP”とされる.
このファイルは,実メモリのダンプだろうと思われるが,もしかしてページファイル分必要かもしれない.(あまり経験がないので詳細は判らない)
また,ユーザアプリケーションがダウンしたときの情報もメモリダンプファイルが作成される. これは“USER.DMP”とされる.
このファイルの大きさは時々によってマチマチであり.見つけた物では最小5Mから最大16Mまでの物があった.(経験値)
これはアプリケーションが使用しているメモリに依存すると思われ,その最大数を取っておけばよいと思うがパフォーマンスモニタで監視でもしないとアプリケーションが使っているメモリは判らない.
よって,ここでは,ざっくりと実メモリの半分とする.
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7.アプリケーションファイル
アプリケーションは出来るだけ別のドライブに分けて置いた方がよいと思われるが,MS-Officeなどの様にシステム領域にDLLファイルを必要とする場合には,インストール先のドライブを変更しても意味がない.
サーバとして運用する場合,複数のアプリケーションを導入することは無いと思われるが,サーバプリケーションが同じ様な理由により起動ドライブにファイルを置くことも考えられるので,200M程余裕を見ておく.
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8.結果
項目 | 容量 |
---|---|
システムファイル | 500M |
ログファイル | 100M |
ページファイル | 実メモリ×2 |
メモリダンプ | 実メモリ÷2 |
アプリケーションファイル | 200M |
9.計算式
計算例 | 計算結果 |
---|---|
800+(48*2+48/2) | 920M |
800+(64*2+64/2) | 960M |
800+(96*2+96/2) | 1040M |
800+(128*2+128/2) | 1120M |
10.おわりに
この値は全て余裕を持って算出している. これだけあれば,導入初期段階の見積もり以上の要求には耐えられる様にしているつもりである.
実際には,この80%程度の値でも十分稼働できるハズである.