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ルータ越えのPrint Service for Macintosh


ルータ越えのPrint Service for Macintosh


0.改訂履歴

  • 1997.02.06 初版

1.はじめに


 Macintoshは,ネットワーク機能は標準である. AppleTalkというネットワークプロトコルを使っての通信である. これは,あまり知られていないことだが,プリンタが関係する.
 Appleは,Macintosh用にImage Writerというドットインパクトプリンタと,LaserWriterというレーザプリンタを用意していた. このLaserWriterは俗に言うPostrScriptプリンタの代表的なモノである.
 当時,ドットインパクトプリンタが16ピンから24ピンへ完全にシフトし,それなりの印刷能力を持っていたが,いかんせんその表現能力は限られており,印刷された文字の荒さが目立っていた. いかにも「素人のお手製」という感じだ.
 このころ,300dipという性能を持ち,なおかつAdobe社のページ記述言語,PostScriptを搭載した超高性能プリンタがLaserWriterであった. これはエンジニアリングワークステーションで有名な,Sun MicrosystemsのSPARC PrinterとしてもOEM供給されている程だった. これを用いた印刷物は,出力センターで専用機を使ったものと等しいと評価された. Macintoshが,今でもDTP向きであると言われるのはそのためであろう.

 しかし,このプリンタはとても高価であった. 本体が,それに40メガのハードディスクにキャッシュ,及び日本語フォント2書体を搭載して120万もした.

 AppleTalkはこの高価なプリンタを「共有」して使うために作られたと言って過言ではない. 共有することによって,一見高価に見えるプリンタも逆にコスト削減につながるのだ.
 プリンタなどは常に稼働している必要性はあまりない. よって,コンピュータ1台に対して1台の安価なプリンタを付けるより,共有してしまった方が安上がりなのである.

 AppleTalkは,今では決して速いとは言えない,最大230Kbpsの転送速度のLocalTalkというハードと規格で成り立っていた. これは後にEtherTalk,TokenTalkとなる.
 MacintoshにLocalTalkのコネクタの表示はない. LocalTalkはプリンタポートに接続して使用する. これもこの歴史を理解していれば簡単にその意図は理解できる.

2.Macintosh

 Macintoshは窮地に立たされている.
 それは,Apple Computerの経営不振が関係するのではなく,ネットワークが普及しているLANでの立場である.
 世の中の成りゆきで,Windowsのネットワークが構築されてしまおうとしている.
 それのどこがわるいのか?

 まず,応えるのがプリンタである. リース切れで返してしまった後,再度プリンタを買ってもらえないことがある. また,あるいは既に最初から無い場合もある.


 そして,AppleTalkはTCP/IPに比べておしゃべりである. 通信するなかに,ブロードキャストが含まれており,これが一定周期で流されてしまう事を「ネットワーク負荷である」と押しつけられることが多い. 別に,NETBEUI,IPXなども同じだが,Macintoshだけに阻害され,批判を浴びることが多い.
 この事によって,ネットワークのルータが制限される. たとえば,それはAppleTalkを通さないルータ,あるいはAppleTalkを通さないようにしてしまう設定を施す...などである.

3.ルータ越えで印刷

 現状,次のような環境である.

  • Macintosh専用に設置されているプリンタは無い
  • ネットワークプリンタが存在している.Postscriptプリンタである.
  • ルータはAppleTalkが越えていかないように設定されている
  • ネットワークプリンタは,違うセグメントに存在する.

これを図に表すと,次のようになる.

 普通ならば,AppleTalkでプリンタを利用することが出来るが,ルータがシールドになっており,AppleTalkは自分の存在するセグメントの範囲のみに限られてしまう.

4.Windows NT

 個人的に,Microsoftが,ゼロから作成した素晴らしいプロダクトは,ExcelとNTであると思っている.(他の製品は買収,吸収合併,技術を吸い上げた後に離別などが多い.書籍「ビル・ゲイツの野望」を参照)
 そのWindowsNTのサーバには,AppleShareサーバと同等の機能を実装している. OSがプリエンプティブマルチタスクを実現していることを考えれば,Apple Workgroup Server以上の出来である.
 このService for Macintoshの中のPrint Service for Macintoshを用いることで,前述のようなルータにてAppleTalkがブロックされている場合でもMacintoshから印刷することが出来る.

 これは,WindowsNT側でセグメントが違う場所にあるネットワークプリンタを,自身のプリンタとして登録し,それを共有する.
 共有したプリンタは,Print Service for MacintoshによってAppleTalk上にプリンタとして公開する. そのとき,Macintosh側では特別な設定は不要で,普通通り,ネットワーク用の機能拡張などと,LaserWriter,LaserWriter8ドライバを備えているだけでよい.
 仕組みは,WindowsNTがMacintoshからAppleTalk経由で印刷要求を受け取り,それをTCP/IPに乗せてプリンタに出すという,単純な話であった.



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