フォールトトレランスシステム計画
0.改定履歴
- 1997.03.19 初版
1.はじめに
このドキュメントでは,WindowsNTの公式マニュアルである「コンセプト&プランニングガイド」の「第7章 スタートアップ障害時の復旧フォールトトレランスとUPS管理」にある「フォールトトレランスシステム計画」および「スタートアップ時障害時の復旧」に関して,説明の意味が理解できたので? 簡単にここに記述する.
2.Microsoft推奨のフォールトトレランス計画について
前出のマニュアルでは,「スタートアップ障害時の為に緊急用ブートディスクを作成しておき,フロッピーディスクからブートできることを事前にテストしておく必要がある」とある. しかし,これはハードウェア構成により適用できない(意味がない)場合がある.
次に,どれに適用するかを説明する.
2.1 複数ハードディスク搭載モデル
旧式で一般的なものである. 単に複数のハードディスクを搭載しており,それぞれは個別で稼動している.
この仕組みのまま使っている限り,ディスク障害が発生した場合に復旧できる手段がない状態である.(よって推奨しない)
このモデルの場合,たとえばブートパーティションがDisk1に設定されている場合,Disk2やDisk3あたりに緊急起動用のNTを導入しておき,Disk1が故障した場合にフロッピーディスクで用意していたブートディスクを使用して緊急起動用のNTを稼動させることによって修羅場をしのぐ方法をとる.
2.2 ハードウェアRAID(アレイコントローラ)搭載モデル
ハードディスクはアレイ・コントローラがコントロールしており,WindowsNTからは1つの物理ボリュームとして認識している. 1つのハードディスクが破壊された場合でも稼動する. (分散型パリティ付きストライピング)
このモデルの場合,ハードウェアとソフトウェアが切り放されているので,緊急起動用ブートパーティションを作成する必要はない.
たとえば,前例のような場合,Disk1がブートディスクに設定されている場合に,故障した場合でも,ホットスタンバイ(製品による?)でDisk1を交換するだけで修復できる.
しかし,NTに障害が起きたときの為に,NTをデュアルブート体制にしておく.(ドキュメント「Trouble AID 〜トラブルから早く回復するための事前処理〜」を参照)
2.3 ソフトウェアRAID(WindowsNTのソフトウェアRAID機能)
この場合は,複数のハードディスクを持つNTサーバにおいてソフトウェア的(WindowsNTサーバ標準機能)にRAID構成にする仕組みを使っている場合である.
NTが標準で持っているフォールトトレランス機能,通称ソフトウェアRAIDでは,NTサーバをセットアップした後にRAIDを構成するしかない.(当たり前)
よって,ブートパーティションはソフトウェアRAIDではRAID5化できない. 可能な物はRAID1(ミラーリング)である.
このRAID1を適用した場合にはシステムが使用しているパーティションと同じサイズの空きパーティションを別ディスクに作成しなければならないのと,ブートパーティションが故障した場合の為にミラーパティションから起動するためのOS Loaderが含まれた緊急起動用フロッピーディスクを用意し,テストしておく必要がある.
3.Microsoft推奨の解説(簡易版)
前述のように?,ハードウェアRAIDを導入しているNTサーバには不要であるが,その他の場合には次のような仕組みを施しておく事が推奨されている.
正常稼動しているときは,Disk1で稼動させておく.そして,たとえばDisk5をミラーセットにしておくか,緊急用のNTを導入させる.
ブートパーティション(Disk1)が破壊されたときに,緊急用フロッピーディスクからOS Loaderを起動し,Disk5にあるシステムを稼動させる.