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Linuxは本当に使えるのか? 2003夏

Linuxは本当に使えるのか? 2003夏


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  • 2003.08.04 新規作成

1.Linuxを本腰利用

 最近流れるニュースをみると一般企業では,やっとLinuxを本格利用しようとする動きが活発になっているように思ます. 私が所属する企業では,2000年後半頃から,ちょっとした実験プチサーバからLinuxの利用を開始し,使えそうだと判断できたらメールサーバ等に利用範囲を広げていきました. 最初は主にSPARCマシン,つまりSolarisからの置き換えとして使っていましたが,徐々に信頼を得ていき,2001年7月頃からは業務用のWebサーバへの利用も行っていきました.

 社内ではもう2年ほど前からLinuxは当たり前ですが,お付き合いののあるベンダーさんや飛び込みの営業さんと話をしていると,システムの,本当に大事なところにLinuxを使っているという話をすると大変驚かれます.

2.Linux利用でのメリット

 ここ2年ほど本格的に使ってきて,感じているメリットについて箇条書きにしてみます.

  • 初期導入費用が安い
  • 安定している
  • 関連したメリット

 それぞれについて具体的に話をしてみましょう.

3.Linuxは初期導入費用が安い

 Linuxは,普通無料です. うちで使っている物は,RedHatが多いですが,これもFTPでダウンロードすると無料です. 最近は容量が大きく,ダウンロードの手間やCD-ROMに焼くなどの手間を考えると,¥1,300ほどの雑紙付録のCD-ROMを利用するのがもっとも効率出来でしょう.

 これで一度入手したOSは,何回でも利用でき何台にいれてもチャージされる事はありませんから,使えば使うほど初期導入コストは安くなると言えます. ¥1,300の雑紙でCD-ROMを入手して10台にいれたら1台¥130!!

3.1.他のOSの値段

 では具体的に他のOSとの比較を考えます. Microsoft製品などはオープンプライスなので定価がわかりませんが,ITエージェントが運営している通信販売サイト「パソQ」(http://www.pasoq.co.jp/)で調べてみました.

主要OSの価格表 2003.07.31現在 パソQでの販売価格
製品 価格
Windows Millennium Edition
\21,800
Windows2000 Professional
\38,800
Windows XP Home
\21,800
Windows XP Professional
\29,800
Windows2000 Server 5User
\147,000
Windows2000 Advanced Server 25User
\373,800
Windows2003 Standard Edition 5user
\104,800
Windows2003 Enterprise Edition 25User
\424,800
PC-DOS2000
\6,480
MacOS X 10.2
\14,800
MacOS X 10.2 Server 10User
\59,800
MacOS X 10.2 Server Unlimited User
\98,000
Miracle Linux Standard Edition V2.1
\38,300
Turbo Linux 8 Server
\33,000
RedHat Linux9.0
\6,520
RedHat Linux Professional
\15,500
RedHat Linux Advanced Server 2.1
\189,500
FreeBSD 3.5.1
\3,480
NetWare6 5user
\125,900
NetWare6 25User
\581,600

 どういう使い方をするかによって必要となるものが変わってきますが,実質¥1,000〜¥3,000円程度のコストで手に入るOSとしてはLinuxはダントツの価格となります.

 普通の人?は意見はないと思うけど,MacOS Xは結構安いんだなぁとおもいますね.

3.2.Linuxは安くない?

 初期購入費用としてみると,Linuxは他のOSに比べて格安である事が判りました. しかし,CNETの記事でLinuxのコストについて次のような意見があります.

 これは,CNETの意見じゃなくて,マイクロソフト株式会社の新社長マイケル・ローディング氏がWindows Server 2003の発売に際してだしたコメントです.

  • ある外部機関の調査ではサポートなども含めてトータルコストはそれほど安価ではない

 んーちょっと的確な指摘,明快な数値などが無いので説得力が薄いなぁ.

  • 攻撃があった時に誰が対応するかを考えると,我々の製品には優位性がある

 誰が対応するかというと,基本的には各ディストリビュータでしょう. そして個々のプログラムの作者だったりするでしょう. そういう人たちは自分のプライドにかけて,修正をしていくとおもいます.

これはタイトルからは判らないけど,Embedded系,つまり組み込みアプリケーションの開発を行う際のコスト比較について書かれています.

  • Windows開発の平均は48万ドル,Linux開発の平均は150万ドル.両者の開発者の給料が同額だという仮定に基づいて試算

 んー,難しい.仮定によってはどうにでも揺れる事が可能な気がしますね. ただし,LinuxはベースはUNIXな訳ですから,普通にWindowsだけを使えるエンジニアよりは,コストが高いような気がしますね.

4.Linuxは安定しているのか

 もう2年以上前から,OSのリブートを行っていないマシンがあります. RedHatLinux 6.2で上でSybase SQL Server 11.0.3が動いているので優秀でしょう. その他にもそれに類似したマシンが数多くあります. 一方,WindowsNT4.0で2年以上稼働させているOracle8 8.0.5もあります.

 つまり,使い方次第で安定にも不安定にもなります.

4.1.不安定な原因は同じ

 最近,以前はWindowsNT4.0のプレインストールを使っていたサーバマシンをLinuxをインストールして再利用する事が多くなりました. しかし何故かLinuxに入れ替えたそのメーカのマシンでは原因不明のハングアップが発生します.

 WindowsNT系でも,そのハングアップの多くの原因はビデオとネットワークとRAIDカードなどのドライバが主な原因でしたが,Linuxにも同じ事が言えます. 本体は頑丈でも足下が揺らいでいると不安定であるといえます.

4.2.ハードメーカサポート

 そのLinuxが不安定なサーバは,原因はRAIDカードのドライバが原因でした. メーカに問い合わせると確かにそのような認識をしていたりします. しかし,そのメーカでは,そのマシン用のLinuxのサポートを行わないとの事. 普段,そのメーカはLinuxとの親和性や会社としてフォーカスしている事を強調しているような広報活動を行っていますが,3年前くらいの古いマシンに関しては全く関知しないようです.  エンタープライズ利用で考えるとRAID構成は必須なので,これでは採用を見送るしかありませんね.

 最近のジレンマで言うと,新しいサーバを買う→あたらしいネットワークカードが搭載されている→そのハードに対応したドライバは,新しいOS(ディストリビューション)にのみ対応→そのディストリビューションではDatabaseソフトが稼働しない・・・という事が多々あります.

4.3.ミドルウェアのサポート

 エンタープライズ用のミドルウェアについても同じ事が言えます.データベースやアプリケーションサーバでは,特定のLinuxディレクトリビューションとバージョンが指定されています.

 そのディレクトリビューション以外のものはメーカはサポートをしませんし,Sybase Adaptive Serverの様なRPMベースのパッケージインストーラを使っている場合は依存関係を厳しくし,必要なライブラリやプログラムの有無をチェックしたり,コンパイルが必要なOracle Database Serverではインストール時にコンパイルエラーが発生するような場合は,対処するためにmakefileを変更するなどのノウハウも必要になります.

 メーカが推奨しているのは,有償版のRedHat Linux Advanced Serverだったりしますので,先の値段をみてもらうと変わるとおり,けっこういい値段をしています.

5.関連したメリット

 話をしてきたように,エンタープライズシステムのサーバとしての利用では,まだまだ足りない部分が多くあります. しかし,単なるWebサーバような利用方法であれば,十分といえます.

 いま,Linuxを使い続けていくというのはどのようなメリットがあるのかを考えてみると,各ベンダーは「導入事例として扱わせて欲しい」なんていう要望を出していきます. 「これから本格利用の時代が来る」と思ってはいるが導入に踏み切れない企業が多い中だと,「Linuxを使っていこう」という企業を見つけるのは容易ではないようです.  最近の話では,次のようなメリットが多いですね.

  • 価格面でのメリット
    • 不安材料?のある製品を導入するわけですから,それなりに価格が安くないと経営側に対してチャレンジする意味が伝わらない.
  • 導入費用のメリット
    • ベンダー側も初めての環境の場合“顧客の環境を使ってのテストを行わせてもらう”くらいの考え方で,あとで導入費用を稼ぐための教育先行投資として人をだしてくれる.
  • 教育費用のメリット

 “ベンダーコントロール”なんていうと大げさかもしれませんが,隙間とお互いのニーズを上手く使う事で上手く推進していけるのでは?と考えています. これはあと2年後には受けられないメリットでしょう.

6.まとめ

 まとまりなく文書を書くと,しめる時に困りますが,「Linuxは使えるか?」というと現在のレベルでもエンタープライズ用途で十分実用に耐えうると思います. ただし,パッケージ物を使う場合は,互換性やサポートについて念入りに確認しておかないと後で首が絞まってきますので気を付けましょう〜.



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