2007-05-26
経営コンサルタントとしての企業分析,あるべき姿を最終的に「グランドデザイン」としてまとめます. そして,その分析結果を発表する日がやってきました.
我々はプレス発表を行う専用ルームに通されました. ひな壇には我々3人のコンサルタントが座り,記者席には全国から集まった部門長が50人ほどいます.
会場に入る前,先輩コンサルタントから「私はシステムに詳しくないので質問を受けたら回答をお願いする」と言われ,まぁ自分で作った提案書なので大丈夫だと思っていましたが,50人の顔を見ると緊張してきました.
最終報告会の発表が始まりました. 現状のその企業の構成確認,国内,海外業界,ライバル会社動向から会社が選択していくべき道の方向性の提示,そのための組織改革と数値目標等が語られています.
色々と掲げられている目標は,彼らにとってとても現実味のある物だったはずです.なぜなら,彼らの上司が元々掲げているものに近いからです.
同じ言葉でも,誰が言うのか,これによって違うわけで,外から来た専門家も同じことを言っているとかで説得力,納得感がでるという事もありますね. 150ページくらいある提案書を一気に読み上げていきます. 2時間の持ち時間ですが当然細かい話をしている時間はありません. システムの部分は進行役の先輩コンサルタントが「後で読んでおいてください」といわれすっかりとばされてしまいました.
発表が終わった後,社長が立ち上がり,「ここまで詳細な分析と進むべき道をしめしたもらった.これからこれを実現するように進めていこう」というような話をし,たたみかけるように発表会は終了,質疑応答は時間切れと言うことで後日個別に受け付けますという事で幕を閉じました.
結局必要だったのは,従うべきボス猿を示す会だったと言うことでしょうか. 分析も発表会も成功裏に終わったという事の実績作り,改革に向けて進んでいくという同意がとれたという実績,そういうものをアウトプットとしたものでした.
そのコンサルティングプロジェクトは,グランドデザインを成果物としていったん終了し,半年後,物流システムの再構築として具体化を始めました. それが開始された頃には私はそのコンサルティングファームを離れていたのですが,相手が大きな会社なので,色々なシーンで報道されます. 残念ながら東京には未だに店舗が無いのですが,どんどん吸収合併で南下を始め,1兆円企業の道を進んでいるようです.
久しぶりにこの仕事を思い出したのが,その時の社長が今回,辞任した事をニュースで見かけ,懐かしいなぁと思いました.
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