2007-05-12
我々のその執務室には,入れ替わり立ち替わり色々な人が訪れるようになりました. トップのコンサルタントは業界に強く世界の先進的な同業企業情報についても詳しい人だったので,各部門のトップの人たちはそういう話を聞きながら,ご意見を伺いにくるという感じでした.
表面上は勉強しにきているという名目ですが,実はそうではなくて我々は企業内の仕組みを大きく変える目的でコンサルティングに入っているわけで,その時に自分の部門,あるいは自分自身を優位にするために野心的に売り込みにきているという感じです. その企業の社長と私がいた会社の社長が,証券会社の紹介で知り合って話が進み,トップダウンで企業改革を進めようとなっていたので,我々のポジションはいわば「社長室」のようなものだったのです.
そのうち,数いる取締役の序列とか,部門間の軋轢,ちから加減等もわかるようになり,誰を押さえれば良いかがわかるようになりました. 「誰を押さえるか」というのは言葉が悪いですが,もうすこし踏み込んで説明すると組織の中には誰からも信頼を受けている人がいて,その人にスピーカーとなってもらってリードを行う役目とし,我々は現場意見の調整という感じで進めていきました.
現場の意見は尊重しなければいけません.現場では毎日その問題を直視しているので,それは間違いなく明確な問題だからです. ただし,部門内で解決できない何かがあるから,我々コンサルタントにどうにかしてもらおうという意図なのです.
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