この本はタイトルに嘘がある.
実質的には,「はじめてのオープンシステム開発」です.
ウォーターフォール型開発設計プロセスの進行をベースとしたプロジェクトの流れから,CPUの動き,パイプライン処理等も含めたコンピュータ・アーキテクチャ,オートマトン,コンパイラ,メールの仕組みをラブレターと表現,ハノイの塔やキュー,スタック,セマフォ等・・・
そして,ツールとしてはsed,awk,熱っぽくEmacsを語っています. そして,いろんな意味でつっこみどころが満載なのですが,それをかわす口調・言い回しは須藤節と揶揄されるまさにそれで,そのままたんたんと進んで行く本です.
そして,参考文献が,まず古いものばかり.名著かもしれませんが,さらに英文の原書. ヘネシー&パターソン以外は,ほとんどは入手できないでしょう. その辺の意地悪さも含め,まさに,17年前に見ていた須藤節がそのままこの本に再現されています.
という事で,新人の頃にこのおっさんと一緒に構ってもらったおかげで,基礎が有るのだなぁと思う今日この頃です.
このおっさんには,アーキテクチャと立ち飲み屋での日本酒の飲み方作法を教えてもらいました.(笑)
最近のミッションで,ある中規模のネットベンチャー企業にて,週1回,若手〜中堅に対して色々なアーキテクチャの教育を行っているのですが,そうすると体系的に話を進めるには,結局この本にあるような内容を講義している感じです.
という事で,どういう人をターゲットにしているかというと,中小企業で教育制度を持っていないような会社にいる中堅エンジニアが,新入社員等の若手に向けて教育する為のシナリオ本として最適でしょう. その意味では「オープンソース」を活用している企業が,ちょうどターゲットなのだろうと思います.
そういう本のタイトルの判りにくさの意地悪さも,須藤節ですね. 「判る人だけ読めば良いんだよはっはっは.」とか,言ってそう.
須藤 克彦 講師:教員紹介 神戸情報大学院大学